正論より共感

講師は正しいことを言いますが、伝わらないことも多いです。
それは同時に「根拠」を伝えていないからです。

例えば、認知症の方には「否定をしてはいけません」と伝えます。
それを聴いた受講生はそうなんだと受け止めますが、腹落ちまでしません。

そこで、講師がこのように理由・根拠をつけてあげます。
「なぜならば、不安と混乱が認知症の進行を早めてしまうからです。」
そうすることで「ああそうなんだ。だからダメなんだ。」と腹落ちできます。

また、「職員同士の報連相が大事ですよ」と言ったとき、それはわかっているけど、なぜ大事なのか、なぜうまくできないのかを掘り下げないと響かないのです。

シフトの問題があるのか、聴く姿勢ができていないのか、大切さをわかっていないのか、
この辺りを深掘りすることで、ようやく自分事となり考えることができます。
「尊厳を守りましょう」も同じです。
教科書に書いてはありますし、反対する人はいないと思いますが、「なぜ?」の本質の理由まで伝えられているでしょうか。

「なぜ大事なのか。そもそも尊厳って何でしょう?自分の言葉で言語化してみましょう」
と問題提起して、はじめて「尊厳」について、自分で言語化して、共感・理解できます。

正論を言えば言うほど引かれるよ。とはこのような意味です。
実は私が、よくやってしまっていた失敗でもあるのです。

その場合は丁寧に、身近なエピソードを入れてあげることで、相手がイメージしやすく共感を得やすくなります。

また、うんちくの言い過ぎも注意が必要です。
うんちくを言って満足するのは講師のみです。