誤嚥性肺炎とは、食事や唾液が誤って肺に入り炎症を引き起こす状態です。特に高齢者では、嚥下機能の低下や神経系の疾患などにより発生リスクが高まります。
本記事では、誤嚥性肺炎の基本情報と、リスクが高い高齢者の特徴をわかりやすく解説します。
この知識を身につけることで、高齢者の健康管理と誤嚥性肺炎の予防に役立てることができます。
誤嚥性肺炎とは?
誤嚥性肺炎は、飲食物や唾液などが誤って器官内に入り込んで、肺に炎症が起きている状態を指します。
通常、私たちが飲み込んだ食べ物や飲み物は食道へ進むようになっていますが、誤ってこれらが器官に入ることがあります。高齢者の場合、嚥下機能が低下していたり神経系の疾患を患っていると、誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。
誤嚥自体は誰でも起こりうる現象ですが、健康な人は咳反射によって異物を外へ排出できるため、肺炎に至ることは少ないです。しかし、誤嚥機能の低下や神経系の疾患の罹患によって咳反射が弱くなっている高齢者は、誤嚥性肺炎になりやすいのです。
誤嚥性肺炎を引き起こしやすい高齢者の5つの特徴
誤嚥性肺炎を予防するためには、高齢者の健康を守ることが重要となります。介護施設では利用者様である高齢者と接する機会が多いので、見守りを通して、些細な異変でも気づくことが誤嚥性肺炎の予防につながります。
ここでは、誤嚥性肺炎を起こしやすい高齢者の特徴をご紹介します。
特徴1:誤嚥機能が低下している高齢者
誤嚥機能の低下は、筋力の低下や神経系の機能障害が原因となります。
筋力が衰えると飲み込む動作がしづらくなります。また、脳や神経系の疾患、例えば脳卒中やパーキンソン病などがあると、嚥下をコントロールする神経の指令が正常に伝わらず、飲み込みに必要な正確な動作ができなくなることがあります。
特徴2:神経系の疾患を患う高齢者
神経系の疾患とは脳や神経に関わる病気のことで、脳卒中、パーキンソン病、認知症などが含まれます。
神経系の疾患を患うと神経細胞が損傷し、みずからの意思で特定の部位を動かせなくなったり、動かすまでに時間を要したりします。脳卒中、パーキンソン病、認知症では以下のような症状が挙げられます。
疾患名 | 症状 |
脳卒中 | 脳の一部が損傷することによって、身体の動きをコントロールが失われる |
パーキンソン病 | 身体の動きを制御する神経細胞が影響を受け、身体の動きをコントロールが失われる |
認知症 | 記憶、思考、判断力、日常の動作がみずからの意思通りに効かなくなる |
特徴3:身体の不自由な高齢者
身体の不自由さとは、寝たきりの状態や様々な理由で身体が十分に動かせない状態を指します。
このような状態では食べ物や飲み物を飲み込むための筋肉の動きが制限され、食堂へ食べ物を送り込む力が弱まってしまいます。正しい姿勢で飲み込めるように、ベッドを適切な角度に調整して上半身を支えるなどの配慮が必要となります。
特徴4:口腔内の問題を抱える高齢者
口腔内の問題とは、たとえば歯が足りない、入れ歯が合っていない、上の歯と下の歯のかみ合わせが悪いといった状態のことを指します。
このような問題を抱えていると、食べ物をしっかりと咀嚼することができません。介護施設を利用している場合、食べ物を細かく切ったり柔らかいものを提供することがあります。しかし、それでもなお適切にかみ砕くことができず、食べ物の塊が大きいまま喉を通そうとしてしまうことがあります。
特徴5:薬剤の副作用のある高齢者
ヒトには、食べ物や飲み物を飲み込む際に食堂へと進むように身体が自動で反応する仕組みがあるのですが、睡眠薬や鎮静薬を服用していると、その副作用として嚥下反射を鈍くする可能性があります。
睡眠薬や鎮静薬は、中枢神経系に作用して、身体をリラックスさせたり眠りを誘ったりする薬です。高齢者の場合は、身体機能の低下によって薬剤の影響を受けやすいことから、服薬によって飲み込みに必要な動作がしづらくなっていることがあります。
まとめ
この記事では、誤嚥性肺炎と誤嚥性肺炎を起こしやすい高齢者の特徴について紹介しました。
もう一度、その特徴について確認してみましょう。
誤嚥性肺炎を引き起こしやすい高齢者の特徴5選
- 特徴1:誤嚥機能が低下している高齢者
- 特徴2:神経系の疾患を患う高齢者
- 特徴3:身体の不自由な高齢者
- 特徴4:口腔内の問題を抱える高齢者
- 特徴5:薬剤の副作用のある高齢者
誤嚥性肺炎を起こしやすい高齢者の特徴をを学んだあとは、誤嚥性肺炎の原因と予防方法について学ぶ必要があります。以下のリンクより記事をご覧くださいね。